効率的なミーティングのために

 ミーティングは、同期的議論によってひとつの結論を導き出すための有用なツールであるとともに、使い方を誤れば、参加者の時間をただ浪費する、不毛な活動となることも少なくありません。ミーティングに参加する人数が5人、時間を1時間取ったとすると、5時間分の成果がそこに求められるわけです。ミーティングは、有意義であることが常に求められています。

目的を明確化する

 ミーティングには目的があります。意思決定、情報共有、ブレスト、どれも重要なことですが、まず目的を明確化しておくことが重要です。目的が不明瞭なミーティングは、ゴールがわからないマラソンのようなものです。ゴールがわからなければ、いずれ道を誤り、議論はとんでもない方向へと飛んでいってしまいます。目的は、適切なスコープに議論を集中させるために必須なものです。

 ブレストなどの発散を目的とした議論でない限り、議論が発散することは避けなければなりません。多くの場合、無為に時間が延長され、ミーティングメンバーは次第に疲弊し、脳の働きは鈍り、ベストな結論を得ることが出来なくなってしまいます。

 また、目的を適切に設定し、明確化していたとしても議論が発散することはよくあることです。メンバー全員が、目的のためにミーティングを行っているという意識を持つことが大切です。難しければ、ファシリテーターのような役割を設置するか、議論が発散しそうになったら誰かが声を上げてもいいかもしれません。

 重要なことは、軌道修正を行えるように適切な目標を全員で共有することです。「それ今議論すべきことだっけ?」というのを常に考えると、驚くほどスムーズに議論が進むはずです。

人数を絞る

 人数が増えれば増えるほど、コミュニケーションのコストは際限なくに増大します。有意義な議論を行うためには、可能な限り参加人数を絞ることが重要です。仮に20人が参加したとして、全員が2分ずつ意見を表明した場合、40分の時間が浪費されます。これでは時間がいくらあっても足りません。結果として、メンバーは「時間が伸びるから」などという本質的でない理由によって発言を躊躇したりしてしまいます。

可能な限り終了時間を厳守する

 開始時間は守るのに終了時間は守らない、というのはどこにでもある問題です。

 ファシリテーターやタイムキーパーは、時間を守ることに注力します。もし時間になってもミーティングが終わっていなかったら、それは議論に課題があるということです。少し頭を冷やす時間を設け、議論の内容について各々整理し、次回に向けて仕切り直すのも良いでしょう。無理やりその場で結論を得るのはあまり望ましくないことです。

 また、適切な終了時間を設定しておくことが重要です。30分で終わる議論もあれば、2時間かかるものもあります。ただし、特別な事情がなければあまり長い時間を設定するのは避けたほうがいいでしょう。人間の集中力は90分が限界という話もありますから、通常であれば90分を超えるミーティングは避けるべきです。

 しかし、現実はそうも行かないことも多いでしょう。今日この時間までに決めておくべき事柄がある場合は、時間を掛けてでも意思決定に結びつけるべきかもしれません。可能な限り、と述べているのは、何事にも例外があるからです。ただし、例外というものはそれなりのコストとリスクを負っていることを忘れてはいけません。

資料を事前に公開しておく

 資料を事前に公開しておくことで、論点を集約することができるかもしれません。たとえば、ある提案に対する合意を得たいとき、事前に資料と目的を公開しておくことで、論点を明確化することができます。もしspreadsheetやdocsなどのクラウドサービスを使っているのなら、コメントを入れてもらうことで議論がスムーズに進むかもしれません。

 「情報を理解する」というのは非常に集中力が必要で、コストの掛かる作業ですし、人によって理解度が異なりますから、ミーティングの冒頭で資料を読み上げても、全員の理解度が水準に達するにはそれなりの時間がかかります。この情報共有を事前に実現できれば、議論に割く時間を多く取ることができます。

ミーティングに出席しているだけ、という状況を見直す

 ミーティングにいることはいるが、何も議論に加わることなくぼーっとしている、というメンバーがいるのであれば、それはそのメンバーにとって、その会議の場が無為であるということかもしれません。

 実際のところ、議論に対する姿勢は人によるところが大きいとは思いますが、それでも議論の内容自体に興味を引けないという事実も受け止める必要があります。それは議題に問題があるかもしれませんし、議論の進め方に問題があるかもしれません。ときには、外の工事音が気になって集中できない、なんてこともあるでしょう。多角的に分析し、不幸になるメンバーが出ないようにしたいものです。

 経験から言えば、大人数でミーティングを行っている場合、話題がその人と全く関係のないところに飛んでいったりすることがあります。関係無いところにも興味を持とうとする姿勢は重要かもしれませんが、そういう人ばかりではないということです。関連しない話題を延々続け、多くの人を無駄に拘束している、という状況はもし続いているのであれば、ミーティングの規模を出来るだけ小さくし、全員が適切な議論に加われるようにする必要がありそうです。

本当に必要かどうかを考える

 情報共有を主軸としたミーティングは、同期的議論の場で説明する意味があまり無いかもしれません。ドキュメントを作成し、ただ共有することですべてが解決することも多いでしょう。質疑応答が必要かも?というのなら、コメント機能があるツールを使用するのも良い手段ですね。

 ドキュメントを共有しただけでは読まない、口頭で説明してほしい、という人もいると思いますが、そういった場合は、任意参加としてもいいかもしれません。

振り返る

 もし本当にミーティングを継続的に効率化したいのなら、振り返りのサイクルを回すことはとても重要なことです。ときにはあまり効率的でないミーティングだったと反省することもあると思いますが、全てを学びに繋げることによって、次はより効率的な場を持てるはずです。

まとめ

 ミーティング・会議が嫌いだ、という方も少なくないはずです。その原因は、ミーティングが無策に行われることで、自分にとって、あるいはチーム・組織にとって有意義でない不毛な時間を過ごしてしまったという体験が強く作用しているのかもしれません。

 ミーティングは重要です。だからこそ効率的に、有意義な場になるように努力しなければならないのではないか、と思います。